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火気厳禁の書斎

名は体を表す。です。

十七年

散文詩

今日まで生きてきた感想を求められても困ってしまう。これだけ言葉を使う僕なのに、一体どう言い表したらいいのか分からない。一切どう言い表したらいいのか分からない。さっきから耳に断末魔の叫びが入ってくる。自殺という名のバンドの曲だ。そういえばこの間女の子のペディキュアを褒めた。目を見ることが出来なかったが相手は「何それ」と笑いながら返事をした。所詮言葉とは伝わらなければ意味が無いのだ。覚えておいてくれ。僕はまっすぐに意味を伝えたくて言葉を使っている訳じゃない。本当に伝えたいのはもっと単純で、そう、快とか不快とか――――。

好き、とか。大好き、とか。

僕は人より少しセンチメンタリズムがあるのかもしれないと最近思う。何かが終わる時、もうこの一瞬は取り返せないんだなと思う。「青春は、取り返しのつかない一瞬にこそ宿る」。僕が春に赤い手帳に書き込んだ文句。今音楽の再生が終わった。日曜日の朝、君が何処かで待っていたらいいな、と思う。僕はきっと迎えに行くだろう。「日曜日の朝からまったくもう」なんて言いながら、僕はきっと笑っているだろう。17年前の今日、僕は確かに生れてしまったのだ。僕は君を待っている。君が誰かを愛し、誰かが君を愛しても、僕は別に構わない。センチメンタリズム。もうしばらく待ちそうなので、僕はまた文庫本でも読むことにしよう。