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火気厳禁の書斎

名は体を表す。です。

少年少女天球 (改題:幻覚転召)

視えない物が視えるようになった。

人間の中身だとか。

空を飛ぶ電車とか。

私の頭は狂ってしまったのだろうか。

視えない物は視えない。

それが普通なのだろう。

眼が狂ってしまったのだろうか。

世界が狂っているわけが無い。

そうだ。きっと、そうだ。

私は病気の体を連れて高いところに上る。

世界を見渡すと、クラゲが視えた。

小さなクラゲが無数に。

私はそれに手を伸ばそうとして――――

身体のない子どもたちに生まれ変わった。

 

生まれつき羽の無い私達は空を仰ぐ。

ぴかぴかの太陽、真っ白な雲、羽ばたく鳥。

僕らの幸せは月面のクレーターに捨てた。

僕らは幸せを諦められた。

肌を焼く熱線が冷める前に早く電車に乗ろう。

さあ、さあ、さあ。

たとえ地獄に堕ちたって、蜘蛛の糸で首を吊ればいい。

太陽の光で信号が見えない。

だから飛び出した。

天国に行ったって飛行機で帰ってくればいい。

身体のない子どもたちはみな踊る。

飛行場で、野球場で、或いは墓地の柵の上で。

黒と白の街の階段を登って月に行こう。

僕らの幸せを。

僕らは幸せを。

君と、一緒に。