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火気厳禁の書斎

名は体を表す。です。

少女顕現 (改題:鎖骨の下)

散文詩 連作集:少女終生

少女には秘密がある。

右の手首と鎖骨の下。

 

その硬い四角の存在に気付いたのはもう三ヶ月程前の事だろうか。

皮膚の奥、指先に乗るような大きさの四角形。

同じ頃、私は私の手首を切った。

なんとなく、切った。

それは突風のような感情で、理性より先に刃物が動いていた。

痛みより恍惚のほうが大きかったように思う。

 

「少しお薬出しておきますねー」

白い服を着た男は言う。

「夏姫って変わってるよねー」

臙脂の服を着た娘は言う。

 

漠然と命を削っていく感覚。

誰も識っている人は居なくなった。

孤独は増殖し、暴発する。

巡る廻る回る周る黒い血を、百円均一のカッターに滲ませる。

私の血が。

切り口からゆっくり流れていく。

にっこりと笑う聖母。

表情だけは笑いながら、私はぐじぐじと傷口を弄る。

 

不安定。

不定。

不安。

可笑しいな。

おくすり飲もう。

アナフラニール アミプリン

ソラナックス サイレース

デプロメール エフェドリン

ドグマチール ハルシオン

デパス パキシル コントミン

リーゼ リタリン レボトミン

デパス パキシル コントミン

リーゼ リタリン レボトミン

 

あはははははははははははははははははははは。

肉。

刺す。

赤。

落ちる。

あははははははははははははははははははははは。

爪。

汗。

赤。

 

そこには、等身大の私が居ました。

私が。

自己表現です。

自家撞着です。

自傷じゃなくて自慰なんです。

だから笑います。

嗤います嘲笑いますワライマス笑います。

美しいです。

鬱苦しいです。

血の涙です。

血より赤い私の。

ワタシのわたしの私の感情。

言わんや、窮鳥を圧殺す。

言わんや、不言実行は暴力なりや。

夜より赤い私の。

ワタシのわたしの私の血。

 

アナフラニール アミプリン

ソラナックス サイレース

デプロメール エフェドリン

ドグマチール ハルシオン

デパス パキシル コントミン

リーゼ リタリン レボトミン

デパス パキシル コントミン

リーゼ リタリン レボトミン

 

あははははははははははははははははははは。

あはははははははははははははははははははは。

うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。

うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。

 

倒れる椅子。

白黒の世界。

過呼吸

液。液。液。

刃物。

私。