火気厳禁の書斎

名は体を表す。です。

名探偵の前に [初出:2013/08/07]

よく晴れた日曜日。

滴る血。

フローリングには、赤い赤い深紅の色が刻まれている。

それは深く、洋室に一種の「真剣味」を与えている。

静まり返った室内。

あなたは透明な存在、いわば視点となって部屋を見下ろしている。

さながら、定点カメラのように。

人が死んでいる。

しかし、あなたはこの部屋を見下ろすだけ。

実際に干渉できるわけでもない。

刺殺された女性は目を剥いたままだ。

あなたはそれでも無感情に、この部屋を視ている。

女性に刺さった刃物。

しおれかけた花瓶の白い花。

ゆっくりとズームを繰り返す。

物音。

誰だ?

あなたは永遠に干渉できない。

足音。

奴か?

あなたは思考の末、一人の人物に思い当たる。

視界の隅、ドアが開く。

その人物を見ると、あなたは落胆した。

「なあんだ、こいつか」