火気厳禁の書斎

名は体を表す。です。

あいどんわなだい

突然辞めた彼女。 僕は何も言えない。 黄色い球を投げる。 いつもどおりにヘタクソ。 クッキーにかかった白いチョコレート。 君にぶっかけたかった白い現実。 味なんてしなかった。 「お疲れ様でした」。 「ありがとうございました」。 一生の後悔、そんな感…

少年少女回転

レコードを止めるな。 針は血脈をなぞって走る。 巡り回る運命は果たして再生し切れるだろうか。 あどけない恋は再生し切れるだろうか。 レコードを止めるな。 たとえ盤面の血筋が擦り切れて、血塗れになってしまっても。 すみれの花が枯れる前に、早く、そ…

三年

繰り返す映像 僕たちは飽きただろうか ノイズ混じりのラジオ 僕たちは躊躇なくスイッチを切れただろうか 15884が問い掛ける 「死に意味があるなら、私たちは何故死んだのか」 僕たちは笑って 「 、 」 そう答えた 忘却は暴虐で 消えた彼/彼女/君/私は 何を残…

少年少女証明

午後十時の階段を降りる。 狭い、急な階段。 下って真空状態の小部屋へ。 圧縮される僕の存在。 山積みの本は未来を考えてくれない。 明かりと僕と水。 陶器の気持ちは汲み取れない。 布団に潜る。 明日のことを考える。 その瞬間、他人事のような表紙が僕を…

少年少女天球 (改題:幻覚転召)

視えない物が視えるようになった。 人間の中身だとか。 空を飛ぶ電車とか。 私の頭は狂ってしまったのだろうか。 視えない物は視えない。 それが普通なのだろう。 眼が狂ってしまったのだろうか。 世界が狂っているわけが無い。 そうだ。きっと、そうだ。 私…

ヴァレンタイン・デイ

朝降っていた雪は雨に変わり、しとしとと公立高校に降り込む。僕は昨日買った「スプートニクの恋人」を開いてバスを待っていた。周りで同じ様にバスを待っている生徒の声。後ろの女生徒二人は文学好きらしく、源氏物語がどうだ江戸川乱歩がどうだと喋ってい…

無題

君は 死ぬように生きている 都市に隠れて さながら 仄暗い部屋の片隅で 体育座りして虚空を視ているように 汝の敵を愛せよ 汝の呼気を殺せよ 都市に隠れているんだろう そのまま見つからないのが 君の望みだろう 救えない君は逃げ 救えない都市は消え 救えな…

回顧録:あすれつシリーズ 二年生編

去年から書いていた森永あすか×寒堂冽子の百合シリーズが「愛し貴女へ」で一応一区切りを迎えました(?)のでここらで一つ解説というかおさらいというか。 各話ごとにテーマ曲をつけたりなんかも(勝手に)してますのでその辺も書いていきたいと思います。 ・「…

愛し貴女へ

冬の空は澄み切った空気と太陽の光だけもたらす。 冷たい風は今日はお休みみたい。 つなぐ手を確かめると、こっちに引き寄せた。 「先生、次はどこに行きます?」 いつものつまらなさそうな顔をして、先生が付いて来る。 「あー、何でもいいから手を離せ」 …

愛か恋か慰み者

六角鉛筆でマスを埋める。 「はぁ…」 もう三日も学校に来ていない。 あいつは何をやっているのだろうか。 一応、保健室には全生徒の出欠名簿が届く。 私に解ってることぐらいあいつも承知だろう。 なんでこんな馬鹿げた真似を。 気付けば貧乏揺すりをしてい…

新年のご挨拶

えー、先程2014年が始まりました。 今年も皆様のご愛顧のほど、宜しくお願い致します。

回顧録:連作集 少女終生

鎖骨氏に頂いたお題からどんどん派生して連作になった系短編の集いが「連作集 少女終生」。 まあ一つづつ解説だったり書いてて思ったことなど綴っていきます。 一応ネタバレ注意でお願いします。 ・「少女顕現 (改題:鎖骨の下)」 お題をまんまタイトルに持…

少女再生 〈連作集:少女終生 了〉

温かく、透明な液体に包まれている。 ここは暗い。 一定のリズムが私を揺らす。 ただただ幸せな時間。 闇の中、私は来るべき時を待つ。 どれくらい時が経ったろう。 どれくらい私は揺れたろう。 私を包む殻が破れる。 冷たい、光る、爪が私を掴む。 やめろ。…

少女終生

悪臭。 腐った脳味噌を容器に入れて歩いている。 狭い教室には黴と性病が蔓延し、顔の無い男女は永遠に性交を続ける。 世界の秩序は失われた。 どこもかしこも狂っている。 どこもかしこも濁っている。 発する言葉はこれで正しいのか。 聞き取る音は言葉なの…

少女変貌

着飾る私は肌にアクセサリーをつける。 生放送は笑い声。 タイムラインはエゴまみれ。 失望。 この世なんてゴミだ。 神様の生ゴミだ。 絶望。 魔法みたいに流れる液。 内腿を伝って流れる液。 存在が無意義に成った今、これ以上病む必要があるのか。 だから…

少女が少女であるうちに

生きているこの体が惜しい。 考えるこの頭だけ、ここに有れば好い。 記憶も感情も何もかも取っ払って、思考したい。 嗚呼、暖かな感覚が脳に伝わってくるそのコンマ数秒が惜しい。 「先生」 云々言ってないで早く入れ。 マンションの自動ドアを開ける。 あの…

少女悪逆

「イライラしていた」 「誰でも良かった」 「今は反省している」 罪の意識などない。 残るのは記録だけ。 そこに心情は介在しない。 飼い殺された精神に傷がつく。 あーあ。 もたつく空気をスタバのモカフラペチーノと一緒に飲み込む。 苦い苦い苦い気持ちを…

少女自撮

透明な液をだらだらと垂らす自分と、それを見る自分。 赤い液をどくどくと流す自分と、それを見る自分。 一部を切って売って、私は生きる意味を得る。 とっかえひっかえして、私は生きる。 私は見ている。 切り取っている。 切り取った「それ」からは命の匂…

発信人間

あなたが今部屋の電気をつけていることで、火力発電所からは二酸化炭素が出る。 でもそれはあなたに関係無い。 あなたが今手を洗うことで、海が汚れ、魚が死ぬ。 でもそれはあなたに関係無い。 あなたが今食事することで、何千何万もの家畜の命が奪われる。 …

暁ばかり 憂きものはなし

先生は優しかった。 大学二年、先生は私の前から去った。 あたしの心に、深い深い傷を残して。 先生と関係を持った。 それだけ。 一方的に断たれた。 それだけ。 体も心も寄りかかっていた。 私が悪い。 あの夜も、あの言葉も、私が悪い。 あの夜。 あの言葉…

少女凍結

昔地球は凍ったそうだ。 今私は冷えかかっている。 世界に温度を吸い取られて。 芯まで。 私を凍らせようとする人はいない。 誰も。 その無関心が、私を冷やす。 知らず知らず、凍っていく。 誰も。 私を温めようとする人はいない。 心まで。 世間に温度を飲…

彼女は無慈悲な私の先生

「…」 午前0時。 私は半分開いたドアの前、確実な返事を待つ。 「…仕方無いな、入れ」 廊下の闇が、室内の光を呑み込んだ。 この二日間、私は学校行事の泊まりがけ遠足に来ている。 無論保険医の先生も一緒だ。 『将来学習』がこの遠足のテーマだけれど、私…

威厳×純潔×無垢

「まーた怪我したのか」 先生の冷たい眼。 「ちょっと転んじゃって」 えへへ、と顔がほころぶ。 そんな私を見て、先生は余計に嫌な顔をする。 「ほら、早く見せてみろ」 「はあい」 救急箱の中から絆創膏と消毒液とガーゼ、慣れた手つきで取り出すと、「ここ…

少女幻像 【初出:2013/08/10】

少女はその女性用下着を身につけた時、とても大きな危機を感じた。 「自分はもう、こんなにも成長してしまったのか」。 恐ろしい程に自分は成長してゆく。 少女は、時間の流れを呪う。 自分の清廉を奪う時間を。 少女は、組み立てられる都市を呪う。 汚染と…

夕暮れ再教育

「はぁ…んっ」 私は今、保健室のベッドの上にいる。 もう夕陽がこの部屋の中まで差し込んで来て、白いカーテンを橙に染める。 私は毎日この保健室で『ひとりあそび』に耽る。 先生の広い部屋に忍び込んで、先生と同じ空気を吸い、先生の質感を味わいながら――…

少女顕現 (改題:鎖骨の下)

少女には秘密がある。 右の手首と鎖骨の下。 その硬い四角の存在に気付いたのはもう三ヶ月程前の事だろうか。 皮膚の奥、指先に乗るような大きさの四角形。 同じ頃、私は私の手首を切った。 なんとなく、切った。 それは突風のような感情で、理性より先に刃…

ウネ貴公子と胸騒ぎの東京湾

『M』は突然の要請に驚いた。 人工衛星「チャーチル」の広域金属探知機能を作動させるのは航空宇宙局の認可が要る。 部署間のホットラインに指をかける。 「あーもしもし。至急東京湾全域の金属探知を開始してくれ」 「五秒しか待たないぞ、いいな」 画面に…

秘密

遠くから聴こえるお祭りのざわめき。 私達はその夜、「友達」じゃ、なくなった。 「ん…」 息苦しいような声を上げ、二人はその口を解いた。 目は熱を帯び、吐息は少し荒っぽい。 「ねえ…」 顔が近づく。 「もっと顔、寄せて」 女の子の匂い。 その甘い、しか…

【ネタバレ】魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語 雑感

えー、昨日まどマギの映画(新編)見てきました。 ガチでネタバレ注意です。 これ以降未見の方はなるべく見ないでいただきたいです。 さて、個人的な感想から。 初めて見たというのもあり後半鳥肌立ちっぱなしで見ていました。 大体のあらすじ。 まどか、マ…

告白

「俺の女になれよ、龍田」 天龍ちゃんは私を壁際まで追い詰めて、こう言った。 「で、でも…」 私にとって天龍ちゃんは大切な仲間。 それも一緒に生き死にの境を潜り抜けるような、とにかく強い絆で結ばれている。 でも、それは恋じゃない。 愛じゃない、と思…