火気厳禁の書斎

名は体を表す。です。

すみれコード再生

45回転の「わたし」が、「あなた」のターンテーブルの上でぐるぐる回って廻って運命を奏でている。レコードの針は今この瞬間も着実に「わたし」を傷つけている。ぐるぐると。まっすぐな傷は小指に巻き付く運命の赤い糸。ぐるぐる、ぐるぐると巡ってでもあな…

十七年

今日まで生きてきた感想を求められても困ってしまう。これだけ言葉を使う僕なのに、一体どう言い表したらいいのか分からない。一切どう言い表したらいいのか分からない。さっきから耳に断末魔の叫びが入ってくる。自殺という名のバンドの曲だ。そういえばこ…

呪縛

十数年の人間生活 創ってきた関係と紙切れの上 きつくきつく 縛られている 昼も夜も無いぶっ続けの人間生活 汚れた外気と罵詈雑言を吸わないよう 不織布のマスクは欠かせない そうさ 悪口は他人の為に言うものじゃない 自分の為に言うものさ 産まれてしまっ…

無題

吐出口の数ばかり気にしています いつもいつも孤独ばかり食べています 耳は常に音を欲しています 指は壊したがり眼は瞑られています どうせ世界は僕から乖離しています こんなにも窓口は広いのに だから欲しくもないものを買ってしまいます あなたについてい…

少年少女囚幕 <連作集:少年少女総懺悔 了>

疲労と 後悔と 甘物を詰め込んだ胃が 夕暮れの電車の中 自戒のスープを煮込んでいる 牙を剥いた老いた獣の 唸り声を聞き 高揚する 押し付けられる苦行に 彼は何を思ったのか その一瞬に 焼いた首元の煙を閉じ込めて 毒と 悪逆と 涙が 身体の中 精神薬のスー…

少年少女切続

私は/真理と/私達は/切り刻みます/表現。/時間を/この両頭/空間を/食い合いの/手首を/思い通りに/断章を/相互関係、/繋げ/ますそれが/君は、/それが/独裁的で/確かに学んだ/あっても/切断し/筈だ。/接続し/切り貼り/相剋やめよ。/切って/張って。/チャイムの…

少年少女清算

アルファベットをそらんじてみます ぼくらはもじにいみをかんじます それはかこからのれんそうです pのもじまできたとき なみだをながしていることにきづきます なみだはくやしさをはらんで ほおに くびに むねに はらに もどらないじかんをおもいだして も…

少年少女懺悔

過去を悔やむのが大人だというのならば、私たちは一体何なのだろうか。 月の満ち欠けに、太陽の傾きに、僕らは何も学ばない。 教科書の文字が漂白されていても、授業は続く。 しかし私たちは寝ていても構わないのだ。 黒板には螺旋の図と赤い矢印。 いつか復…

三年

繰り返す映像 僕たちは飽きただろうか ノイズ混じりのラジオ 僕たちは躊躇なくスイッチを切れただろうか 15884が問い掛ける 「死に意味があるなら、私たちは何故死んだのか」 僕たちは笑って 「 、 」 そう答えた 忘却は暴虐で 消えた彼/彼女/君/私は 何を残…

無題

君は 死ぬように生きている 都市に隠れて さながら 仄暗い部屋の片隅で 体育座りして虚空を視ているように 汝の敵を愛せよ 汝の呼気を殺せよ 都市に隠れているんだろう そのまま見つからないのが 君の望みだろう 救えない君は逃げ 救えない都市は消え 救えな…

少女再生 〈連作集:少女終生 了〉

温かく、透明な液体に包まれている。 ここは暗い。 一定のリズムが私を揺らす。 ただただ幸せな時間。 闇の中、私は来るべき時を待つ。 どれくらい時が経ったろう。 どれくらい私は揺れたろう。 私を包む殻が破れる。 冷たい、光る、爪が私を掴む。 やめろ。…

少女終生

悪臭。 腐った脳味噌を容器に入れて歩いている。 狭い教室には黴と性病が蔓延し、顔の無い男女は永遠に性交を続ける。 世界の秩序は失われた。 どこもかしこも狂っている。 どこもかしこも濁っている。 発する言葉はこれで正しいのか。 聞き取る音は言葉なの…

少女変貌

着飾る私は肌にアクセサリーをつける。 生放送は笑い声。 タイムラインはエゴまみれ。 失望。 この世なんてゴミだ。 神様の生ゴミだ。 絶望。 魔法みたいに流れる液。 内腿を伝って流れる液。 存在が無意義に成った今、これ以上病む必要があるのか。 だから…

少女悪逆

「イライラしていた」 「誰でも良かった」 「今は反省している」 罪の意識などない。 残るのは記録だけ。 そこに心情は介在しない。 飼い殺された精神に傷がつく。 あーあ。 もたつく空気をスタバのモカフラペチーノと一緒に飲み込む。 苦い苦い苦い気持ちを…

少女自撮

透明な液をだらだらと垂らす自分と、それを見る自分。 赤い液をどくどくと流す自分と、それを見る自分。 一部を切って売って、私は生きる意味を得る。 とっかえひっかえして、私は生きる。 私は見ている。 切り取っている。 切り取った「それ」からは命の匂…

少女凍結

昔地球は凍ったそうだ。 今私は冷えかかっている。 世界に温度を吸い取られて。 芯まで。 私を凍らせようとする人はいない。 誰も。 その無関心が、私を冷やす。 知らず知らず、凍っていく。 誰も。 私を温めようとする人はいない。 心まで。 世間に温度を飲…

少女顕現 (改題:鎖骨の下)

少女には秘密がある。 右の手首と鎖骨の下。 その硬い四角の存在に気付いたのはもう三ヶ月程前の事だろうか。 皮膚の奥、指先に乗るような大きさの四角形。 同じ頃、私は私の手首を切った。 なんとなく、切った。 それは突風のような感情で、理性より先に刃…